パソコンのCPUにはRyzenとIntelがあります。Ryzenはコスパが良く、Intelは安定性の高さが魅力です。この記事では、RyzenとIntelの性能などを徹底的に比較し、おすすめを解説します。
パソコンを選ぶ場合は、スペックを確認して購入しますが、その時に迷うのがCPUの種類です。CPUは現在「AMD」のRyzen、「Intel」のCore i シリーズが主流となっています。
安心感のあるIntel、コスパのいいRyzenとそれぞれメリットがあり、どちらを選ぶべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、RyzenとIntelの違いを徹底比較し、どちらを選ぶべきかを解説します。パソコンの選び方で迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
CPUの選び方に関しては、下記記事でも詳しく解説しています。
CPUの選び方!初心者にもわかりやすく性能や用途別に解説>>
目次
Ryzenとは、AMDが製造するCPUのシリーズのことです。AMDはIntelとともに、CPUの2大メーカーでもあります。これまで多くのパソコンでは、IntelのCPUを搭載したものが主流でしたが、Ryzenの登場により市場が大きく変わりました。
IntelのCore i 5に対応するCPUはRyzen 5というように、同等性能を持つCPUには同じ番号の名前がついています。Ryzenは製品によっては、IntelのCoreシリーズを上回る性能を持つものもあります。また、Ryzenはコストパフォーマンスに優れることから、徐々に搭載するパソコンが増えています。
AMDのCPUには、以下のラインナップがあります。
Intelは世界で最もシェアの大きいアメリカ企業で、知名度も高くさまざまな種類のCPUを発売しています。Intelの代表的なシリーズは以下のとおりです。
最新のCore i 7には、自動的にオーバークロックをおこなうターボブーストや、より複数の作業を効率的におこなうハイパースレッディング機能などを備えており、CPUの性能も上昇しています。
CPUとは、パソコンにとって頭脳のようなものです。CPUは、以下の3つの数値を見ることで、おおよその性能を確認できます。
これらの数値を比較することで、CPUの性能も比較できます。1つの項目を見るだけでは比較できず、全ての項目を総合して性能を判断します。
これらの性能を比較することで、用途に合っているか、オーバースペックではないかなども確認できます。ここでは、コア数やスレッド数、クロック数などがCPUの何を表しているのかを解説します。
コアとは、処理作業をおこなうCPUの中核となる部分です。コア数とは、CPUに内蔵しているコアの数を表しています。
かつてのCPUは、1つのコアだけで処理をおこなっていたため、CPUに届いた命令を順番に処理していました。最近のCPUは、複数のコアが入ったマルチコアプロセッサーが主流のため、命令を同時に処理できるようになりました。
CPUの中に複数のコアが存在すると、パソコンでは複数のプロセッサーがあると認識されるため、処理速度が大幅にアップします。複数のコアがある場合でも、同時に処理するデータがない場合は1つのコアだけが動作します。
現在では多くのコアを備えたCPUが主流になっており、次のようにコアの数によって呼び方も変わります。
コア数 | 名称 |
---|---|
4コア | クアッドコア |
6コア | ヘキサコア |
8コア | オタクコア |
ハイスペックのCPUになるとさらに多くのコアを備えた12コア、16コアなどを搭載していることもあります。コア数が多ければ多いほど、同時に処理できることが増えるため、CPUの性能も高くなります。特にクリエイティブな作業をする場合は、重視すると良いでしょう。
スレッド数は、「4コア8スレッド」などコア数と同時に表記されることが多く、同時に処理できる命令の最大数を表します。パソコンから認識されるコアの数で、論理コア数とも呼ばれます。
通常は、コア(物理コア)とスレッド(論理コア)の数は同じですが、最近のCPUは処理能力を高める技術によってパソコンに物理コアよりも多くのコアを認識させられるようになっています。
そのため、1つの処理をおこなっている間にコア内の処理能力に余力があれば、別の処理もできます。ただし、実際にコア数が増えているわけではないので、CPUに余力がなければ処理能力が上がらないこともあります。
クロック数はクロック周波数とも呼ばれ、CPUが1秒間に処理するときに発生する電気信号の数のことで㎐(ヘルツ)で表されます。クロック数が高ければ、同じ時間に同時に多くの処理ができます。1つのコアしか搭載していない場合は、クロック数がCPUの性能を表す
つまり、一般的にクロック数の高いCPUは動きが速く、クロック数の低いCPUは動きが遅いということになります。ゲーム性能を求める場合は、クロック数を重視するといいでしょう。
クロック数が高いほどCPUの性能は高く、発熱量も大きくなります。ただしCPUの性能は、クロック数だけでは判断できません。例えば、クロック数が高くコア数が1つのCPU aとクロック数が低くコア数が2つのCPU bでは、CPU bの性能が高い場合があります。
それでは、実際にRyzenとIntelのCPUの違いを比較してみましょう。Intelはその歴史も古く長い間大きな市場のシェアを得ていました。一方AMDのRyzenは比較的歴史が浅いのですが、そのコスパや性能の高さからIntelに迫る勢いでシェア率を高めています。
現在では、両者ともにCPU市場をシェアする2強のブランドとなっているため、両者の違いはほとんどないといっても過言ではありません。
両者の違いを実感するのは、高度なオンラインゲームをプレイする場合や3D動画の編集などCPUに高負荷がかかる処理をする場合です。そのため、パソコンでよほど高負荷の処理をしない限りは、IntelとRyzenの違いにこだわる必要はなく、気に入った方を選べば良いということになります。
しかし、両者の違いをある程度知っておけば、パソコン選びに役に立ちます。
まず、知っておきたいのが、それぞれの名前です。RyzenとIntelのCoreシリーズは、それぞれ対応しており以下のように名前がついています。大きい数字ほど、そのスペックも高くなります。
AMD Ryzenシリーズ | Intel Core i シリーズ |
---|---|
Ryzen3 | Core i 3 |
Ryzen5 | Core i 5 |
Ryzen7 | Core i 7 |
Ryzen9 | Core i 9 |
RyzenもIntelも、デスクトップ向け、ノートパソコン向け、低消費電力タイプなどさまざまな種類のCPUが発売されています。
一般的に、RyzenとIntelの違いは、内蔵GPUです。IntelのCoreシリーズのCPUには内蔵GPUが搭載されていますが、AMDのRyzenシリーズには、GPUが搭載されていないことがあります。そのため、GPUを搭載していないCPUのパソコンではグラボが必要になります。RyzenのCPUは、GPUを搭載したものをAPUと呼びます。
一般的にRyzenは、マルチコア性能が高いと言われており、複数のアプリやソフトを効率よく動かせます。一方でIntelは、シングルコアの性能が高く、1つのアプリやソフトを高速に処理できます。
それぞれ対応するCPUのコア数やスレッド数、クロック数の違いを比較してみましょう。
コア数 | スレッド数 | クロック数 | 参考価格 | |
---|---|---|---|---|
Core i9 13900K | 24 | 32 | 3.0GHz | 105,800円 |
Core i7 13700K | 16 | 24 | 3.4GHz | 73,000円 |
Core i5 13600K | 14 | 20 | 3.5GHz | 56,000円 |
Core i3 13100F | 4 | 8 | 4.5GHz | 17,400円 |
Ryzen 9 7950X | 16 | 32 | 4.5GHz | 115,000円 |
Ryzen 7 7700X | 8 | 16 | 4.5GHz | 64,000円 |
Ryzen 5 7600X | 6 | 12 | 4.7GHz | 48,000円 |
Ryzen 3 4100 | 4 | 8 | 3.8GHz | 14,200円 |
ご覧のとおり、Core i 9(13世代)とRyzen9(7000シリーズ)では、コア数・スレッド数からCore i 9の処理能力がわずかに高いことがわかります。
Intel第13世代のCore i 9シリーズは、従来モデルよりも大幅にスペックが上がり、コア数は16コアから24スレッドから24コア32スレッドに上昇しています。
Core i 7、Ryzen 7以下のシリーズでも、コア数・スレッド数を比較すると、IntelのCPUが高く、処理能力が高いことがわかります。
ただし価格面で比較すると、コスパがいいのはRyzenであるといえます。
Intel、RyzenのCPUを比較すると、最上位モデルはRyzenの価格が高くなっていますが、その他は若干RyzenのCPUの価格が安くなっています。以前は、圧倒的にAMDのRyzenが安く、コスパで選ぶならRyzenという時期もありました。2023年現在、Intel第12~13世代ではIntelとAMDの価格差はほとんどなくなってきており、コスパだけでRyzenを選べなくなっています。
しかし、CPU搭載したパソコンで見ると、Ryzen搭載モデルの方が安いことが多いです。できるだけ価格を抑えてパソコンを購入したい場合は、Ryzenシリーズを搭載したパソコンを選ぶといいでしょう。
Ryzenのメリットは、コスパがいい点です。近年Intelとの価格差は少なくなっているとはいえ、若干RyzenのCPUがコスパがよく、Ryzenを搭載したモデルのパソコンは低価格のモデルが多いです。価格は今後も変動していくため、IntelとAMDの価格差が逆転する場合もあるかもしれません。
またRyzenのCPUは、消費電力や発熱量が少ないこともポイントです。パソコンにとって熱は大敵で、発熱量が多ければパソコンの寿命を縮めてしまいます。消費電力も少ないため、AMDのRyzenシリーズはノートパソコンに向いているといえます。
CPUには相性があり、Ryzenは使用するソフトによっては、正常に動作しない可能性がある点がデメリットです。
IntelのCPUのメリットは、市場において長い歴史を誇っているため安心感がある点です。
CPUと各ソフトの相性を考慮すると、Intelが優れています。IntelはCPU市場において大きなシェアを得ていたため、各社のソフト開発者はIntelのCPUに合わせてソフトを開発してきたためです。
デメリットとしては、コスパの面で若干Ryzenよりも劣る点です。また、セキュリティ面において脆弱性を指摘されることがあります。Ryzenよりもセキュリティが甘い点がデメリットですが、個人レベルでは大きな心配はないとも言われています。
ここでは、用途別にRyzenとIntelのCPUはどちらを選ぶべきかについて解説していきます。パソコン選びの参考にしてください。
ノートパソコン向けのCPUは、デスクトップ向けのCPUとは性能が異なります。ノートパソコンには、消費電力や発熱量を抑えたCPUが必要です。消費電力や発熱量を抑えるために、あえて処理能力を落としているモデルもあるため、同じ型番であっても、デスクトップモデル同様の処理能力があるとは限らないことを覚えておきましょう。
ノートパソコンを性能重視で購入する場合は、RyzenのCPUを搭載したモデルがおすすめです。インターネット閲覧や簡単なOffice操作のみのライトユーザーの場合は、予算に合わせてIntelとRyzenを選ぶといいでしょう。
ただしオンライン会議の「teams」や「Officeソフト」はIntelの方が低消費電力になるため快適に動作することがあります。テレワークやオンライン授業のためにノートパソコンを購入する場合は、Intel搭載のノートパソコンがおすすめです。
プログラミングで使用するパソコンを購入する場合は、RyzenのCPUがおすすめです。RyzenはIntelよりもマルチコア性能が高く、エンコードにかかる時間を短縮できます。ただし、プログラミングにはそれほどCPUに負担がかかる作業は少ないため、Intel、Ryzen、どちらを選んでもあまり問題はありません。
コスパ重視ならRyzenがおすすめです。CPU単体の価格では、ほとんど違いがありませんが、搭載しているパソコンの価格で見ると、Ryzenを搭載しているパソコンの方がコスパがいい傾向があります。
しかしながら、かつては圧倒的にコスパがいいのはRyzenのCPUでしたが、近年この価格差はなくなりつつあります。在庫などの状況によっては、AMDのRyzenを搭載したモデルの価格が高い場合もあるため、購入する際に十分比較検討する必要があります。
ゲーミングPCに搭載されているのは、圧倒的にIntelのCPUが多いです。動画編集などのクリエイティブ作業する場合でも、IntelのCPUを選ぶのがおすすめです。最近では、Ryzenシリーズが搭載されたゲーミングPCも増えていますが、まだまだIntelが有利な状況に変わりはありません。
ただし、コスパ重視でゲーミングPCを選ぶ場合は、Ryzenシリーズを搭載したものも選択肢に入ります。Ryzenシリーズを搭載しているゲーミングPCには、10万円程度の低価格帯モデルもあります。Ryzenの中には、クロック数がIntelよりも大きいモデルもあります。快適にゲームプレイするためにはクロック数が重要になるため、クロック数を確認してCPUを選びましょう。
はじめてゲーミングPCを購入する場合や、とりあえずパソコンでゲームをプレイしてみたいといった用途に向いています。
気に入ったCPUがあれば、現在使用しているパソコンのCPUを、別のCPUに交換することもできます。パソコンを買い替えるよりも安価でスペックを上げられますが、難易度の高い作業です。
さらにCPU交換には、以下の注意点もあります。
CPU交換はパソコンを分解しなければ、作業できません。パソコンを分解するとメーカー保証の対象外になるため、CPU交換に失敗してもメーカー保証は受けられません。
ノートパソコンは、CPUが半田付けされているモデルも多く、CPU交換は不可能です。交換できるモデルであってもノートパソコン用のCPUは少なく、入手困難です。ノートパソコンの場合は、CPU交換よりも買い替えがおすすめです。
最も注意が必要なことは、IntelとAMDには互換性がないことです。例えば、IntelのCore i 7からRyzen 7のCPUへ交換することはできません。CPUは、パソコンに搭載しているマザーボードに対応しているCPUしか取り付けできません。どうしてもIntelからAMDのCPUに交換したい場合はマザーボードごと交換する必要があります。
CPUの交換手順に関しては、下記記事でも詳しく解説しています。
パソコンのCPUを交換する手順を解説!注意点や起動しないときの対処法>>
パソコン選びの際に迷ってしまうAMDのRyzenとIntelのCoreですが、いずれも性能に問題はなく、ライトユーザーであれば明確な違いを感じることはあまりありません。
大まかな違いはコスパの良さで選ぶならRyzen、安定性を重視するならIntelがおすすめです。しかしながら、両者の価格差はなくなりつつあるため、個々のCPUの性能を見極め、目的によってCPUを選ぶのが良いでしょう。
CPUはパソコンの頭脳ともいえるパーツです。CPUを交換することもできますが、ノートパソコンの場合や、IntelからRyzenに交換したい場合などは、パソコンの買い替えがおすすめです。
パソコンを買い替えたら、古いパソコンは処分しましょう。連絡不要でパソコンを送るだけでパソコンを処分できるパソコン処分.comなら、手軽にパソコンを処分できます。
処分にかかる費用やパソコンのデータ消去も無料のため、安心して簡単にパソコンを処分できます。パソコンの処分方法に困ったら、ぜひ活用してみてください。